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第1章 すー太郎 生まれて初めて釣りに行くの巻

ある日曜日、すー太郎と言う平凡なサラリーマンがいました。無趣味なすー太郎は良い天気だというのに朝から家の中で新聞を読んだりTVを見たりゴロゴロしているだけでした。
「おとーさん玄関あけてー」と子供の声を耳にしたすー太郎は玄関を開けてビックリ!そこには、40Cmを超す大きな真鯛を両手に抱えた息子のひさ君が重たそうに立っていました。ビックリしたすー太郎がひさ君にどういう訳か尋ねると、友達のミツヤ君がお父さんと一緒に「海上釣堀」という所で釣ってきたそうです。沢山釣れすぎて、おすそ分けだそうです。おとーさん僕も「海上釣堀」連れてって とひさ君にせがまれたすー太郎は困ってしまいました。こんなに大きな魚ひさ君にはとても無理だよ お父さんだって魚釣り生まれて一度もしたことないしね とその場を繕い昼寝の続きに入ってしまいました。暫くして目を覚ますと、奥さんのテディさんが台所からビールと鯛のさしみを持って、なにやらにこにこしながら、すー太郎のところに近寄ってきました。恐妻家のすー太郎はテディの何時に無くにこにこした笑顔を見た途端に全てを悟りました。(釣堀に行かないと言ったのでテディを説得したな)
テディの実家は三重県の漁師であった。テディは子供のころ新鮮な鯛やハマチを何時も食べていたそうです。
テディ曰く、こんなに新鮮な魚はこのあたりの魚屋では手に入らないわ、それにゴルフじゃお土産が無いけど魚釣りはご馳走付きよ 一度ミツヤさんに電話してお話を聞いてみてね 今度のお休みはひさ君を連れてお魚いっぱい釣ってきてね(テディのお願いは社長命令より強力であった) その夜 すー太郎は さっそくミツヤさんに電話をしカフェ傳八で「釣堀のイロハ」を伝授される事となった。


さあ大変な事になった、すー太郎にとって初めての体験である。なにをどうすれば良いか?ミツヤさんに聴くことをメモにしてみました。

@持って行く物
お金はいくらいるか? 釣り道具はどうすればよいか? その他に必要な物は?

Aどこに行くのが良いか
予約のしかたは? 車で行くのが便利かな?

まあ、このくらいの事を教えて貰えば大丈夫かな と一人で勝手に納得しているすー太郎は 約束の時間になったのでカフェ傳八に出かけていった。
傳八に着くと既にミツヤさんとその釣友達の人が既に集合していました。なにか様子が変です。カフェ傳八のマスターである熊五郎さんがミツヤさん達を行儀が悪いと叱っているのです。熊五郎さんは客商売にも拘らず正義感が強く、誰であろうと説教するのが趣味であり、この業界でも有名人であった。昼酒が少し残ってふわふわしていたすー太郎から、スッと酔いが引き「ミツヤサン コンバンハ ヨロシク ゴシドウクダサイ」 と少し緊張ぎみの挨拶をすませ、本題に入ろうとした途端「はよ注文せんかー!!」と熊五郎の声が飛びました。
「コッ コーシー下さい」反射的に注文を済ませた。すー太郎は額の汗をおしぼりで拭いながら「ミツヤさん、いつも息子のひさ君がおせわになっています。今度は私までお世話になる事となりまして、ご迷惑おかけします」などと改めて挨拶しました。
「イヤー あなたが、あのひさ君のお父さんですか、大変ですなー(ニヤッ)」
実はひさ君はお母さんの前ではとても良い子なのですが、一歩家を出ると野生児となるのです。そのことを知っているすー太郎は、何も言わず再び深く頭を下げました。
ところで、ミツヤさん「海の釣堀」のこと何もしらないんですが、私のような素人でも遊べるのでしょうか?自分なりに教えて欲しいことメモしてきたんですがと言うと、テーブルの上に用意してきたメモをだし、ミツヤさんの顔をジッと見つめましたとさ。


 チラッとメモ用紙に目を通したミツヤさんはすー太郎の方を向き、暫く無言・・・・そして、顔に微笑みを浮かべ一言「すー太郎さん あなた にらめっこが強いでしょ。」
緊張の糸がほぐれたすー太郎は少しリラックスして、「そーなんですよ、昔から皆にそう言われます。どーしてでしょうかねー?」
そんな調子でテーブルが少し和んだころ、同席していた紳士風の男(ハゼ太郎)が口を切りました。

◇◇◇ 予算 ◇◇◇

すー太郎さん、「海の釣堀」は遊びです。そんなに敷居が高くないですよ。お小遣いと餌さえ忘れなければ手ぶらで出かける事も出来るんです。釣堀代は大人で1万円です。あとは貸し竿・魚を入れる箱・氷、お弁当などは事務所で頼めるし、交通費・餌代など全て含めて2万円で十分おつりがきます。あとは2万円分の高級魚と思い出、こんなに満足感のあるレジャーは他にはないですね。もちろん熟練者と初めての人では少し差がでますが、一度行ったら虜になりますよ。すー太郎さんの場合お子さんの分も含めて3万円あれば十分でしょうね。如何でしょう良子さん(良子さんは動物好きで、心優しく豪快な乙女です。趣味は釣堀とダンプの運転)
「そうですわね、私のようなカヨワイ女性と子供は釣堀代5千円なんですよ。お魚屋さんで頼んでも5千円じゃほどほどの御造りしか出来ないし、私一人分には少し足りないわね。ところが釣堀に行った時だけは新鮮な高級魚をたらふく食べられるわ。」良子さんはお話の最中思わず出てしまったヨダレをおしぼりで拭いながら、つづけて言った。
「釣ったお魚もいいけど、「海の釣堀」の醍醐味はやっぱり強烈な引きですわね。あの感覚は思わず理性を失って野生に戻ってしまいますわ。ホホホッ。それと自分の釣り道具があればもっと楽しいし安上がりになりますわね。道具にうるさいミツヤさん、道具の事すー太郎さんに教えてさしあげてね。」


◇◇◇ 道具・仕掛け ◇◇◇

まず、すー太郎さんのような超ビギナーな方にはウキ釣りジャ。アタリが目で見えるので分かり易いし、硬めの竿が使えるのでデリーケートな竿捌きを必要としないからなのジャ。だがしかし、子供の頃鮒を釣ったあれとはちょっと違うゾ。魚の居る深さが竿の長さより深いのジャから、そのままではウキが邪魔してラインが巻けず魚はいつまでたっても水の中。そこでジャ「遊動ウキ仕掛け」を使うのジャ。言葉では説明しにくいが詳しい図解付きの説明が欲しければ「釣り堀ファン倶楽部」へ向かうのジャ!

「え!『釣り堀ファン倶楽部』ってあの有名な?」実はハゼ太郎も良子さんも皆、ファン倶楽部のお世話になった人達ばかりであった。ハゼ太郎が言った「そういえば、あのHPには釣り道具だけでなく餌や便利な小物の事までメニューに有ったなー。私も始めのころ大変お世話になりましたよ。」
(良子)「私もよ、そーいえば このあいだ大手の釣り道具屋さんに行ったとき海の釣堀コーナーが有って仕掛けとか色々な小物が置いてあったわ。最近釣堀ブームだから店員さんも詳しくアドバイスしてくれたわよ。あ!そうそう そういえば 私の友達の久比居さんも釣りのHPやってるわ。確か「ぶらっと釣りある記」とか言ってたわね。すー太郎さんはインターネット出来ますか?」
(すー太郎)「インターネットは得意ですよ。特にアダルト系のは何でも私に聴いて下さい。」
・・・・ 一同ア然 ・・・・ 暫く沈黙 ・・・・
それも楽しいでしょうが、先ほど紹介したHPを是非見ておいて下さいね。


「ハーイ!インターネットで見ときまーす」チョット元気の出てきたすー太郎であった。
「ホーッ あんた達、釣りをなさるんか?」熊五郎マスターが話に割って入りました。
「わしはなー、チョット釣り堀の事にはうるさいんじゃ。わからん事が有ったら何時でも聞きに来なさい。例えば、釣り竿は一人に1本じゃ。それから、撒き餌や2本針もいかんぞ!わかったな?わしゃ、そういう事する奴が無性に腹がたつんじゃ。それからもう一つ、近ごろわしの娘がインターネットとかいう訳の分からんものに一生懸命なんじゃ。ありゃあ釣りと関係あるんかのう・・・わしにゃー近ごろの若い衆がようわからん!魚釣りのほうがええのー」熊五郎は不機嫌な口調でしたが実はとても釣り好きな良い人でした。

カフェ傳八を後にしたすー太郎一行は次に大手釣具店の常習屋へ向かった。ミツヤさん達のアドバイスを受けながら以下の物を買いました。

■釣り竿 8,000円 海上釣り堀用と書いてある物が無難
■リール 5,000円 3000番以上のスピニングリールが無難
■リール糸 1,000円 太さ5号か6号 安物不可
■仕掛け 1,000円×2 海上釣堀用のセット クッションゴムと浮き付き
■予備の針 500円×2 真鯛10号と12号 ハリス付きが無難
■クーラー 10,000円 60L位の大きめが便利です、レジャー用にも使える
■その他小物 3,000円 道具入れ・ハサミなど 安物で可

以上合計 30,000円也 これ位の出費は仕方ないですね。
買い物が済んで、お礼を言おうとした時でした。「これ皆のお古ですけど、ひさ君にプレゼントしますよ。それから、釣り場で分からない事があれば遠慮せず同じ筏に乗っている人達に聞くといいですよ。釣り人がほとんど良い人ですから、多分親切に教えてもらえると思いますよ。」
皆さん 本当に有り難うございました さよならー